PWMを使用可能にするには
前回はGPIO制御でLEDの点灯・消灯を
今回はハードウェアPWM制御でLEDの明るさを変えてみましょう。
NanoPi NEOは1チャネルのPWM(PWM0)を搭載していますが、ArmbianのデフォルトではPWM機能とピンを共有(Multiplex)しているUART0がシリアルコンソール用途のために有効になっており、PWM機能は使用できない状態になっています。まず最初にDevice Tree overlaysという仕組みでUART0機能を無効・PWM機能を有効にします。ここでは詳しい説明は割愛し、PWMを有効にする方法だけ記載します。
まず、ピンの状態を確認します。PWM0はPA5ピンにアサインされています(Allwinner H3のデータシートで確認可能です)。
# su パスワード: # cat /sys/kernel/debug/pinctrl/1c20800.pinctrl/pinmux-pins :(省略) pin 4 (PA4): 1c28000.serial (GPIO UNCLAIMED) function uart0 group PA4 pin 5 (PA5): 1c28000.serial (GPIO UNCLAIMED) function uart0 group PA5 :(省略)
前述の通りPA5はUART0にアサインされている状態です。これをPWM0に切り替えます。具体的には/boot/armbianEnv.txtを開き内容を一部変更します。
「armbianEnv.txt」変更点①
「console=serial」の行の先頭に「#」を追加してコメントアウトする。
「armbianEnv.txt」変更点②
「overlays」の行に「pwm」と追記する。
以下のような感じです。
$ sudo vi /boot/armbianEnv.txt
verbosity=1
bootlogo=false
#console=serial
disp_mode=1920x1080p60
overlay_prefix=sun8i-h3
overlays=usbhost1 usbhost2 pwm
rootdev=UUID=4898d57e-5d6d-4c9c-8e8a-96f3009f5fb5
rootfstype=ext4
usbstoragequirks=0x2537:0x1066:u,0x2537:0x1068:u
※上記設定を行ってもUSB接続でのコンソール機能は利用可能です。
尚、本設定を有効にするためにはNanoPi NEOを再起動する必要があります。
Device Tree overlaysに関してもっと詳しく知りたい方は以下を参照ください。
PWM機能が有効になったことを確認
再起動したらPWM機能が有効になっていることを確認します。以下の通りになっていれば無事PWM機能が有効になっています。
# su パスワード: # cat /sys/kernel/debug/pinctrl/1c20800.pinctrl/pinmux-pins :(省略) pin 4 (PA4): (MUX UNCLAIMED) (GPIO UNCLAIMED) pin 5 (PA5): 1c21400.pwm (GPIO UNCLAIMED) function pwm0 group PA5 :(省略) # ls /sys/class/pwm/ pwmchip0
PWMを制御するには
前回のGPIO制御同様にsysfsで制御します。基本的な制御方法はGPIOと同じです。
# ls /sys/class/pwm/pwmchip0 device export npwm power subsystem uevent unexport # echo 0 > /sys/class/pwm/pwmchip0/export # ls /sys/class/pwm/pwmchip0 device export npwm power pwm0 subsystem uevent unexport # ls /sys/class/pwm/pwmchip0/pwm0/ capture duty_cycle enable period polarity power uevent # cat /sys/class/pwm/pwmchip0/pwm0/enable 0
以下の項目を設定することでPWMを制御できます。
period
PWM信号の周期を設定する。nsec単位の値。
duty_cycle
PWM信号のアクティブ時間を設定する。nsec単位の値で、periodより小さい値である必要がある。
polality
PWM信号の極性を設定する。このプロパティへの書き込みは、PWMチップが変更をサポートしている場合にのみ機能する。PWMがdisableの場合にのみ変更できる。値は “normal” または “inversed” 。
enable
PWM信号の有効(1)/無効(0)を設定する。
上記項目については以下「Pulse Width Modulation (PWM) interface」の「Using PWMs with the sysfs interface」節に記載があります。
制御内容を設計
今回の目的は「PWM制御でLEDの明るさを制御する」です。簡単にいうと「電圧のON/OFFを高速に行い、かつONとOFFの時間割合を変えることで明るさを変える」です。
調べたところ周波数は200Hz~1kHz程度が一般的な模様です。今回はせっかくのハードPWM使用なので1kHzにしてみます。
1kHzということは1/1000=0.001=1ms周期です。前述の通りperiodはnsec単位のため、1,000,000を設定します。
duty_cycleには1msの間で信号がHiになっている時間を設定します。こちらもnsec単位です。今回はduty比(ONになっている時間の割合)を10%~100%で徐々に明るくしていき100%~10%で徐々に暗くしていく、それを繰り返すこととします。
更に、10%から100%(もしくは100%から10%)に到達するまでの時間は1秒とします。2%ずつ変化させるとして、90[%]/2[%]=45、つまり1秒間に45回制御するということになるので制御間隔は1[s]/45[回]≒0.022[s]=22[ms]となります。
C言語でプログラミング
sysfsをopen/writeするという制御の大筋はGPIO編と大差ないため細かい説明は割愛します。コメントを見ながらソースを読んでみてください。
$ vi led-soft-flashing.c
#include <stdio.h>
#include <sys/types.h>
#include <sys/stat.h>
#include <fcntl.h>
#include <unistd.h>
#include <string.h>
#include <stdlib.h>
#include <time.h>
int main()
{
int fd = -1;
int ret;
struct stat st = { 0 };
unsigned long periodValue;
unsigned long dutyValue;
char valueStr[16];
int strSize;
const struct timespec tms = { 0U, 22U * 1000U * 1000U }; // 22ms
// Unexport pwm0 if it exists.
ret = stat("/sys/class/pwm/pwmchip0/pwm0", &st);
if(ret == 0) {
fd = open("/sys/class/pwm/pwmchip0/unexport",O_WRONLY);
if(write(fd, "0", 1) != 1) {
perror("write-1");
exit(EXIT_FAILURE);
}
close(fd);
}
// Export pwm0.
fd = open("/sys/class/pwm/pwmchip0/export",O_WRONLY);
if(write(fd, "0", 1) != 1) {
perror("write-2");
exit(EXIT_FAILURE);
}
close(fd);
// Set polarity to normal.
fd = open("/sys/class/pwm/pwmchip0/pwm0/polarity",O_WRONLY);
if(write(fd, "normal", 6) != 6) {
perror("write-3");
exit(EXIT_FAILURE);
}
close(fd);
// Set period value.
fd = open("/sys/class/pwm/pwmchip0/pwm0/period",O_RDWR);
periodValue = 1000000; // 1kHz
strSize = snprintf(valueStr ,16, "%lu", periodValue);
if(write(fd, valueStr, strSize) != strSize) {
perror("write-4");
exit(EXIT_FAILURE);
}
close(fd);
// Set initial duty cycle value.
fd = open("/sys/class/pwm/pwmchip0/pwm0/duty_cycle",O_RDWR);
dutyValue = 100000; // 10%
strSize = snprintf(valueStr, 16, "%lu", dutyValue);
if(write(fd, valueStr, strSize) != strSize) {
perror("write-5");
exit(EXIT_FAILURE);
}
close(fd);
// Set pwm0 enable.
fd = open("/sys/class/pwm/pwmchip0/pwm0/enable",O_WRONLY);
if(write(fd, "1", 1) != 1) {
perror("write-6");
exit(EXIT_FAILURE);
}
close(fd);
while(1) {
// duty 10%->100%
do {
nanosleep(&tms, NULL);
//
fd = open("/sys/class/pwm/pwmchip0/pwm0/duty_cycle",O_RDWR);
dutyValue += 20000; // +2%
strSize = snprintf(valueStr ,16, "%lu", dutyValue);
if(write(fd, valueStr, strSize) != strSize) {
perror("write-7");
exit(EXIT_FAILURE);
}
close(fd);
} while(dutyValue < 1000000);
// duty 100%->10%
do {
nanosleep(&tms, NULL);
//
fd = open("/sys/class/pwm/pwmchip0/pwm0/duty_cycle",O_RDWR);
dutyValue -= 20000; // -2%
strSize = snprintf(valueStr, 16, "%lu", dutyValue);
if(write(fd, valueStr, strSize) != strSize) {
perror("write-8");
exit(EXIT_FAILURE);
}
close(fd);
} while(dutyValue > 100000);
}
exit(EXIT_SUCCESS);
}
今回のプログラムは永久ループになっていますので停止させる際はCtrl-Cを入力してください。
LED回路の接続
前述の通りPA5ピンはUART0-RXピンと兼用です。SDカードスロットを上にしてみたときに左側の内側下から4番目のピンになります。
Lフワの様子
LED回路を接続したらプログラムを実行してみましょう。
$ gcc led-soft-flashing.c $ sudo ./a.out
こんな感じでふわっと点滅します[1]頑張ってgif作りました。
以下にオシロ画像を貼っておきます。こんな感じでdutyが変化していきます。
Hiが2V程度になっていますが、こんなもんなんでしょうかね。
今回の記事で使用した機材紹介
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